LiveStormCEO登壇ウェビナー【海外最新ウェビナートレンド&ノウハウ】インタビュー編
はじめに
先日2020年に約30億円の資金調達を達成した、フランスのウェビナープラットフォーム企業「Livestorm」の共同創業者兼CEOであるGilles氏をお招きし、【海外最新ウェビナートレンド&ノウハウ】についてウェビナーを開催しました。また、モデレーターとして株式会社OTUNAGIの茂木様にご登壇いただき、大変盛り上がるセミナーとなりました。
こちらの記事では、【海外最新ウェビナートレンド&ノウハウ】について当日に行われたGilles氏への5つのインタビュー内容を要約してお伝えします。
目次(インタビュー内容)
インタビュー本編
①ウェビナートレンド:リモートとオフラインの両方のイベントが増加
海外でのウェビナーの現在のトレンドと、今後5年間で注目すべき変化は何か?という問いに対して、コロナの影響でリモートが急増したが、現在は収束傾向にあり、オフラインイベントも増加中。リモートワークの浸透により、ウェビナーやオンライン会議の需要は継続的。しかし、イベントにおいてはオンラインだけでの展開は危険とのこと。
「バーチャルイベントしかやっていなかった会社は、コロナで売上が下がってしまった。アメリカやヨーロッパを中心に展開していたHopinという会社は、40億ドル以上の評価額を誇る会社だったが、バーチャルイベントしか開催していなかったため、現在は業績悪化によりRingCentralに買収された。買収額は、1500万ドル程度とかなり低い金額だった。」(Gilles氏)
バーチャルイベントの需要
「ミーティングやウェビナーに目を向けると、リモートワークの浸透によりコミュニケーション、営業、トレーニングの手段として開催される数が増えている。今後5年間、オンラインミーティングやウェビナー実施の流れは続いていくと思うが、バーチャルイベントについては以前のようにオフラインに戻っていく傾向があり、オンラインでしか展開していない企業はつぶれてしまう可能性が高い。」(Gilles氏)
ここでLivestormの2つの社内データを紹介してもらいました。
青のグラフはLivestormで行われたセッションへの参加者数を示しており、2019年〜2020年にかけては、コロナの流行によって急激に伸びています。2023年も継続して高い数値であり、参加者の数は1000万人を超えています。
「別の赤色のグラフでは、Livestormで実施されたセッション数を示しています。マーケターや営業担当者、研修担当者など、それぞれの立場でリモートの考えが浸透しており、オンライン会議がより頻繁に行われているため、セッション数は増え続けている。」(Gilles氏)
つまり、ある程度コロナ以前のような働き方に戻りつつあるため、平均参加者数(リモートセッション開催時の一回当たりの参加者数)は平坦化もしくは減少している一方で、開催されているセッション数が増え続けているため、全体としての参加者数は増加傾向にあるとのことでした。
②エンゲージメントの高め方:カジュアル感のある参加者とのコミュニケーション
イベント当日に参加者との交流を図る「エンゲージメント」の高め方と、なぜエンゲージ メントを高めることが重要なのか?という問いに対して、エンゲージメントこそが、Gilles氏がLivestormを設立した理由に関連しているとの回答がありました。
チャットやアイスブレイクの活用
エンゲージメント獲得の方法として重要なのは、カジュアルな要素を入れること、何百人、何千人もが見ているようなフォーマルなプレゼンテーションではなく、登壇者と参加者が対話をしていると感じてもらうことが大事とのことです。
「具体的には、アイスブレイクをやるのもおすすめ。コメントをするのに誰も投稿していない状態で初めて投稿するのは、非常に心理的ハードルが高い。なので、「皆さんはどこから参加していますか?」などの簡単な質問をしたり、「好きな飲み物を教えて」と聞いたりすることでカジュアル感を出す。そうすれば投稿への心理的ハードルが下がり、チャットの投稿欄が盛り上がり、コンテンツがまじめなものであっても、エンゲージメントがどんどん高まる。文化の違いはあるかもしれないが、このようなやり方でパーソナライズしていくことは、エンゲージメントを高める上で非常に重要だと思う。」(Gilles氏)
③ウェビナーKPIで見るべき指標:参加率・視聴継続率・エンゲージメント
3つの指標
よくあるKPIには、ウェビナーからの商談獲得数や参加者数、Q&Aセッションでの質問数などが挙げられるが、成功度合いを測るためにはどの数値を見るべきか?という問いに関して、3つの数値を教えてくださいました。
1.参加率
2.視聴継続率「離脱が多いとコンテンツが面白くなかったなどの理由があるため、振り返りのためにも注目すべきです。」
3.エンゲージメント 「構成によっても変わってくるが、チャットや質問数も重要な要素になる。1人あたりの質問数、チャットへの投稿数、どれくらい投票に参加したかを見てほしい。その数字が1を超えている場合、基本的には各個人がエンゲージメントを示していることを意味している。したがって、このウェビナーにおける一人当たりのエンゲージメントの比率が1を超えていれば良い状況にある。」(Gilles氏)
ウェビナーはマーケティングファネルの一部
また、ウェビナーが販売、トレーニング、マーケティングなどの目的で開催される場合、ファネルの一部として考えるべき、とのアドバイスをいただきました。
「広告キャンペーンを例に考えてみると、その広告キャンペーンを行う場合、その単一の広告キャンペーンからの視点だけではなく、どういう成果がもたらされたのか全体を見るべきなので、ウェビナーに関連づけられた単一の指標を選択して見ていく必要がある。例えば、ウェビナーがもたらした商談の数や、トレーニングウェビナーの場合は認定の数などウェビナー自体に紐づく数字だけでなくその周辺の数字も見ていくべき。したがって、ウェビナーにマーケティングファネルの何かを関連付ける必要がある。」(Gilles氏)
VES(Video Engagement Score)とは
Livestormでは、NPS(Net Promoter Score)をウェビナー用に置き換えた、VES(VideoEngagement Score)を見ているそうです。VESは、どれだけチャット投稿があったかなどのエンゲージメントを測る指標のこと。VESという一つの指標を使うことによって、ウェビナーにどれだけのエンゲージメントがあったかということを知ることができます。
実際にイベントのVESを測ることのできるLiveStormのHPはこちら↓
https://video-engagement.org/score-calculator
④無形商材において、ウェビナーは需要とリードの創出に効果的
コンサルティングなどのような無形商材を扱う場合、顧客をナーチャリングをするために、どのようなウェビナー設計を段階的にしていけばいいのか、という質問をしました。
無形商材を取り扱っている場合、ウェビナーでは専門性をアピールするのが重要であり、2つの考えがあるそうです。
需要の創出
1つ目は、自社が解決できる課題について啓もうすること。つまり「需要の創出」を意味します。例えば、セキュリティに関するウェビナーでは、課題について啓蒙し、参加者に問題の深刻さを理解させます。これにより、参加者は同じ課題を抱えていることに気づき、専門家であるウェビナー主催者に連絡する可能性が高まります。
リードの創出
2つ目は、「リードの創出」です。カスタマー形成のためには、具体的な数字を交えた自社の事例を含むウェビナーを定期的に開催し、ブランドの信頼性を高めることが重要です。参加者は定期的な価値提供を期待し、何か問題が生じた場合には自社に依頼する「ブランド第一想起」が形成されます。
コンテンツの再利用
「ウェビナー以外だと、ニュースレターなどで発信することで抱えている問題に対するアプローチを紹介する。施策の中心にウェビナーを置き、周辺にメルマガを置き、コンテンツをYouTubeやTikTokに載せるなど再利用していくことでウェビナー成果を最大化できる。ウェビナーのトランスクリプトをブログ化することもできる。AIを活用してサマリーを作り、SNSで発信するのも可能。ウェビナーを起点としてコンテンツを再利用し、オーディエンスを拡大することができる。」(Gilles氏)
⑤AIを使用してウェビナーのサマリーを作成し、その内容をコンテンツとして再活用
AI活用が広がるなかで、LivestormではどのようにAIを活用しているか?また、ウェビナー企画においておすすめのAIツールや活用方法について教えてほしい、との問いに対して以下のように回答していただきました。
AIでできること
「ウェビナーは多くの素材を提供し、AIは特に話し言葉をテキストに変換し、要約、再利用に役立つ。テキスト化には高品質なAIを使用。ウェビナーコンテンツは要約し、ショート動画やSNS用に変換できる。」(Gilles氏)
おすすめAIツール
「Livestormでは、テキスト化するのにヨーロッパのGladiaというAIを活用している。1〜2時間のウェビナーコンテンツの文字起こしは非常に長く、得られるものも多い。そこで、重要になるのはAIで要約を作ること。短くすれば多くの人が読んで理解してくれる。」(Gilles氏)
CRMの観点から、ウェビナー参加者をAIで評価し、優先すべき顧客を選別する方法があります。AIはパターンの比較を得意とし、見込み顧客のポテンシャルを判断し、コンバージョン率向上に寄与します。また、MadkuduなどのAIを使用して企業情報を整理し、効果的な判断を支援します。
おわりに
今回の記事では、実際のウェビナー当日のインタビュー内容を要約してお伝えしました。ウェビナープラットフォーム会社のCEOであるGilles氏だからこそ提供できる、説得力のある情報だったのではないでしょうか。今回のウェビナーノウハウが皆様のお役に立てれば幸いです。
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