インタビューで情報を最大限引き出すための質問のコツを徹底解説

インタビューで情報を最大限引き出すための質問のコツを徹底解説

Published On: 2025年1月22日Last Updated: 2025年1月23日

インタビューの成功は、質問設計で大きく左右されます。ビジネスシーンで行われるインタビューは、明確な目的を持ち、戦略的な情報収集の一環として実施されることが一般的です。例えば、自社の成功事例を強調するための顧客インタビュー、新規事業の仮説検証、あるいはオウンドメディア向けの記事制作などが挙げられます。

しかし、質問の質が低いと、せっかく貴重な時間を割いてもらったにもかかわらず、有益な情報を引き出せずに終わってしまう可能性があります。インタビューの成果を最大化するためには、適切な質問の設計が不可欠です。ここでは、効果的な質問のポイントと、避けるべき質問の例を紹介します。

インタビュー時の「良い質問」と「悪い質問」の違いとは?

まずは、良い質問と悪い質問の違いについてみていきましょう。

良い質問の特徴

・質問の意図が明確になっている
・相手の専門性や実績を尊重し、経験を引き出せる
・視聴者にとっても役立つ具体的な情報を引き出せる
・話をさらに深掘りしている

悪い質問の特徴

・意図が不明瞭である
・質問が漠然としていて、焦点が定まっていない
・事前の調査不足が露呈してしまう
・質問者側の視点に偏りすぎていて決めつけが含まれている(誘導質問など)
・1つの質問に複数の質問が含まれる

良い質問をすると、相手は「しっかり事前リサーチをして準備してくれたんだな」と感じ、前向きに詳しく回答してくれるものです。一方で、悪い質問をすると、「少し調べればわかることなのに、なぜ聞かれるのか?」や「この質問に答えて何の意味があるのだろう」、「質問者の前提がズレているな」といった違和感を抱かせ、インタビューの流れが悪くなってしまいます。結果として、貴重な情報を引き出せないだけでなく、相手のモチベーションを下げてしまう可能性もあります。そのため、インタビュー時には、良い質問をきちんと準備したうえで臨む必要があります。

インタビューで良い質問を作るための3つのコツ

では、相手が意欲的に答えたくなる「良い質問」を作るには、どのような工夫が必要なのでしょうか?ここでは、インタビューの質を高め、貴重な情報を引き出すための具体的なポイントを紹介します。

インタビュー前にリサーチを入念にする

質問リストを作成する際には、その人の経歴や実績を徹底的にリサーチしましょう。表面的な質問や、少し調べれば分かることを聞いてしまうと、貴重なインタビューの機会を無駄にしてしまいます。深みのある良い質問を作るためにも、事前調査は欠かせません。

私がインタビュー前に行うリサーチ方法は、以下の通りです。

インタビューに向けた事前リサーチの情報源

・SNS(LinkedInやXなど)
・経歴
・他の記事やインタビュー(動画も含む)
・公式HP(個人で開設しているウェブサイト)
・書籍(あれば)

例えば、Forbes誌の「世界を変える30歳未満30人」に選出されたGoogleのメアリーさんにインタビューした際、彼女のキャリアが非常にユニークだったため、以下のような質問をしました。

「教師から教育関連の記者を経てGoogleに入社し、さらに働きながらUCLAで博士号を取得されたそうですね。日本では社会人になってからアカデミックに戻るケースは少ないですが、なぜGoogle入社後に博士号を取ろうと思ったのですか?」

すると、彼女はとても意欲的に答えてくれました。

「Googleで教育×AIの分野に携わる中で、教育業界は他の分野と比べてテクノロジー導入やイノベーションが遅れていると感じていました。これを改善するため、Googleで培った実務経験だけでなく、定性・定量調査の知見も深めて、それを実践に活かしたいと考え、UCLAで教育学の博士号を取得することを決めました。」

また、博士号の取得が現在のGoogleでの仕事にどのように活きているかについても語ってくれました。彼女によると、Googleでフルタイムで働きながら博士課程を修了するのは大変な挑戦だったそうで、仕事終わりに大学図書館へ駆け込む日々が続いたとのこと。

メアリーさんへのインタビューは、以下よりご覧いただけます。

このように、事前リサーチをしっかり行い、相手のキャリアの転機や苦労したエピソードを掘り下げる質問をすると、インタビューがより深みのあるものになります。また、相手も「自分の経験をしっかり理解してくれている」と感じ、積極的に回答してくれる傾向があります。

インタビュー相手の専門性や実績を掘り下げる

自分の専門外の分野について質問をされても、適切な回答をするのは難しいものです。そのため、インタビューでは相手の専門性や実績を深掘りし、価値ある情報を引き出すことが重要です。ここで鍵となるのが、入念な事前リサーチ。相手が実際にどのような行動をとったのか、その背景や意思決定のプロセスを掘り下げることで、より有益なインサイトを得ることができます。

例えば、HubSpotでAIプロダクトのグローバルマーケティングマネージャーを務めていたDaniさんへのインタビューでは、以下のような質問をしました。

「南米、北米、ヨーロッパにおけるHubSpotのAIプロダクトのグローバル展開を担当されていましたが、具体的にどのような施策を行ったのですか?」
「各地域で国民性が異なる中、マーケティング戦略にはどのような工夫をされましたか?」

この質問に対して、Daniさんは各地域の市場特性について詳しく語ってくれました。

  • 南米のユーザーは、あまり自分で調べることを好まず、新しいものをすぐに試したい傾向がある。そのため、積極的なアプローチをすれば新規ユーザーの獲得は容易だが、一方で他のプロダクトへの乗り換えが早いため、リテンション施策が重要
  • ヨーロッパ(特にドイツ・フランス)は、AIに対して懐疑的な姿勢が強いため、慎重な情報提供が必要。契約前に徹底的にリサーチを行い、納得した上で意思決定をするため、時間をかけて信頼を築くことが重要。一度契約すると長期的にプロダクトを利用してくれる傾向がある。

このような具体的な回答を引き出せたのは、事前リサーチを基に「相手の専門性を掘り下げる質問」を行ったからです。また、追加で「なぜその手法を選択したのか?」と仮説を立てながら深掘りする質問をすることで、さらに貴重な情報を得ることができました。

特に、日本では国内市場向けのビジネスが多いため、地域ごとのマーケティングの違いを意識する機会が少ないかもしれません。しかし、このようなインタビューを通じて得られるグローバルな視点は、非常に新鮮で有益な学びとなります。

情報の届け先が知りたいことを聞く

インタビューの内容は、単に自分の知識を深めるためだけでなく、読者や視聴者と共有するケースが多いものです。そのため、インタビューを行う際は、自分だけの視点にとらわれず、「この回答を知ることで、読者や視聴者は何を得られるのか?」を意識することが重要です。

特に、以下のポイントを押さえることで、より価値のあるコンテンツを作ることができます。

  • ターゲット(読者・視聴者)の課題を明確にする
     → 課題解決に役立つ具体的なノウハウやヒント、成功事例を引き出す。
  • 読者・視聴者がすぐに実践できる情報を得られるようにする
     → 単なるインタビューではなく、読者が行動に移せるような実践的な内容を意識する。

例えば、Meta(旧Facebook)で10年以上の経験を持つ採用マネージャー、オースティンさんに、エンジニア採用をテーマにインタビューした際のことです。Metaでは、履歴書のスクリーニングや面接プロセスにAIを活用し、数百時間の業務時間を削減しているという話が出ました。

しかし、この情報だけでは、読者や視聴者にとって「AIを活用すると採用効率が上がる」という一般論しか伝わらず、具体的な学びが得られません。そこで、「具体的にどのようなAIサービスを使っていますか?」と深掘り質問をしました。

この質問に対し、オースティンさんは「Metaでは外部のAIツールは使わず、自社開発のAIを活用している」と回答しました。この場合、他の企業では同じツールを導入できないため、さらに「もし他社がAIを採用プロセスに活用する場合、どのような手法やサービスを選ぶべきか?」と追加で質問すると、より実践的な情報を引き出すことができます。

このように、読者や視聴者が知りたいことを意識し、「この情報を得た後、具体的に何を実践できるのか?」という視点で質問を設計することが、価値のあるインタビューにつながります。

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